こんにちは!今回は、読書好きなら絶対に外せないノンフィクションの傑作、『モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』(マイケル・バー=ゾヴァー、ニシム・ミシャル著/早川書房)を紹介します。
「世界最強」と称されるイスラエルの対外情報機関「モサド」。そのベールに包まれた実態や、国家の存亡をかけた命がけの極秘ミッションを描いた本書は、フィクションのスパイ映画を遥かに凌駕する衝撃に満ちている。
今回は、本書の魅力や読みどころを分かりやすくレビューします!
『モサド・ファイル』とは?
本書は、ホロコーストの首謀者アイヒマンの拉致という歴史的作戦を筆頭に、テロ組織への報復、シリアや北朝鮮の秘密核施設の破壊、さらにはイランの核開発を阻止するための秘密戦争まで、モサドが成し遂げた数々の決死のミッションを暴いたノンフィクションです。
著者はイスラエル情勢に通じた専門家であり、当事者への取材や綿密な調査に基づいて描かれているため、圧倒的なリアリティと緊迫感が全編を通して漂っています。

ここが面白い!本書のおすすめポイント3選
1. 映画よりもドラマチックな「実話」の重み
描かれているのはすべて現実の歴史です。アイヒマンの行方を執念で突き止め、敵国アルゼンチンから秘密裏に連れ出す作戦や、一歩間違えば大戦争に繋がりかねない極限の状況下での駆け引きは、ページをめくる手を止まらせません。

「事実は小説より奇なり」
の言葉が証明される一冊
2. エージェントたちの圧倒的なプロフェッショナリズム
国家の安全を守るため、影に徹して命を投げ出すエージェントたちの生き様には、組織人やビジネスパーソンとしても深く考えさせられるものがあります。
冷徹な任務の裏にある葛藤や、ユダヤ民族の存亡をかけた強固な使命感は必読です。
3. 中東情勢や国際政治の裏側がリアルに見えてくる
単なるスパイアクションのエンタメとしてだけでなく、イスラエルが置かれた地政学的リスクや、現代の国際社会につながる歴史の裏側を深く知るための教養書としても非常に優れた一冊です。
おもな事件ファイルと登場人物
物語に収められている主な事件・作戦と、そこに関わる中心人物の描写は以下の通りです。
アイヒマン捕獲作戦(アドルフ・アイヒマンの拉致)
- ラフィ・エイトン:実戦部隊の指揮官。冷静沈着で、アルゼンチンの路上でアイヒマンを襲撃・拘束する作戦を率いた。
- ツヴィ・アハロニ:モサドの優秀な尋問官・捜査官。アルゼンチンの隠れ家でアイヒマンから直接自白を引き出し、彼が本物であると確証を得た。
- アドルフ・アイヒマン:ナチス・ドイツ親衛隊(SS)の中佐で、ホロコーストの「最終解決」の計画責任者。南米アルゼンチンで身分を偽りひっそりと暮らしていたが、モサドの執念の追跡により怯えた初老の男として捕らえられた。
この作戦を描いた映画: 2018年米映画『オペレーション・フィナーレ』 & 2015年ドイツ映画『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』(西ドイツ・バウアー検事長の伝記ドラマ)などがある
エリ・コーヘン(シリア潜入スパイ活動)
- エリ・コーヘン:シリアの最高枢機にまで食い込んだ伝説的スパイ。裕福な貿易商「カメル・アミン・サベス」に成りすまし、政府高官らと深い親交を結んで軍事機密をイスラエルへ送り続けたが、のちに露見して1965年ダマスカスで処刑された。死後7年を経て、時の首相ペギンも参列のもと盛大な追送式が行われ、国の英雄となっている。
- アミン・アル=ハーフェズ:当時のシリア要人(のちに大統領)。エリ・コーヘンの巧みなハニートラップや社交術にすっかり魅せられ、彼を軍事施設へ自由に立ち入らせてしまった。
ミュンヘン・オリンピック事件の報復(神の怒り作戦)
ミュンヘンオリンピック事件: 1972年9月オリンピック開催中のミュンヘンで、パレスティナ武装組織「黒い九月」によるテロ事件 空港での銃撃戦などで選手団11人を含む17人が死亡する大事件となった 実行組織の名をとって「黒い九月事件」とも呼ばれる
- ツヴィ・ザミール:当時のモサド長官。ミュンヘンでの痛ましいテロ事件を受け、ゴルダ・メイヤ首相の下、世界中に散らばる黒幕や実行犯を徹底的に暗殺する報復作戦「神の怒り作戦」を冷徹に指揮した。
- マイク・ハラリ(本名:イサーク・シュホリ):モサドの暗殺部隊「キドン」を率いた現場責任者。変装の名人であり、標的に気づかれることなく巧みに接近して処刑を実行した。
- アリー・ハッサン・サラメ(赤い王子):イスラエル選手団を襲撃したテロ組織「黒い九月」の首謀者の一人。モサドから長年マークされ続け、のちにベイルートで車爆弾により暗殺された。サラメの死亡で、20人におよぶテロ組織関与者への報復は終了した。
事件を題材にした映画『ミュンヘン』(米 2005年)はスピルバーグ監督がメガホンをとった作品 そのほか、『セッテンバー5(2024年)』『ブラック・セッテンバー(1976年)』などがある
エンテベ空港奇襲作戦(サンダーボルト作戦)
- ダン・シショロン:作戦を立案した空軍の天才将校(当時准将・のち参謀総長に)。遠く離れたウガンダの空港まで、戦闘機を伴った輸送機部隊を無給油・超低空で飛ばすという前代未聞の奇策を成功させた。
- イディ・アミン:当時のウガンダ大統領。ハイジャック犯らを自国に迎え入れてかくまったが、イスラエル軍の電光石火の奇襲の前に完全に虚を突かれた。
特攻作戦を描いた映画『特攻サンダーボルト作戦』(1976年米)では、チャールズ・ブロンソンがシショロン准将を演じた
原子炉破壊工作(オリバー作戦 / オペラ作戦 / キエト作戦など)
- メイル・ダガン:のちにモサド長官となり破壊工作の全般を統括。若い頃から特殊部隊や工作活動で頭角を現し、敵対国家の核開発や兵器体系の無力化において極秘裏に破壊工作を主導した。
- サダム・フセイン:イラクの大統領。フランスの協力を得て秘密裏に建設を進めていた核施設「オジラク」をイスラエル空爆によって一瞬で破壊され、野望を打ち砕かれた。
どの事件においても、国家の存亡を背負ったモサドのエージェントたちが、綿密な変装、情報戦、そして時には非情な決断をもって任務を完遂する姿が描かれています。
『モサド・ファイル』はこんな人におすすめ!
- スパイ小説や映画(『007』や『ミッション:インポッシブル』など)が好き
- 圧倒的な読みごたえのあるノンフィクションを探している
- 現代の国際情勢や歴史の裏側に興味がある
まとめ:知的好奇心を刺激される最高の一冊
『モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』は、人間の知略の限界と、国家を背負う者たちの覚悟をまざまざと見せつけてくれる傑作です。「本物のノンフィクションで痺れるような読書体験をしたい」という方は、ぜひ手に取ってみてください!




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